それって正しい言葉?違和感のある二重敬語の話

あなたは二重敬語を使ってないと言い切れる自信はあるだろうか。
社会人になって普段から敬語を使っているけれど、無理に敬語を使いすぎて二重敬語になっていないだろうか。

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意外とやってしまいがちな二重敬語について紹介する。

二重敬語ってなに?

あなたは二重敬語という言葉を耳にした事があるだろうか。
二重敬語とは、1つの語の中に同じ分類の敬語を複数使うことだ。

例に出してみると「部長がテレビをご覧になられました。」という文章は二重敬語で、正しい言葉に直すと「部長がテレビをご覧になりました。」となる。

解説すると「ご覧になる」が尊敬語であるのに、その後に「・・・れる」という尊敬語が加わっている。
同じ種類の敬語を2つ使っているので、二重敬語となり日本語として正しくないのだ。

二重敬語の例

二重敬語には以下のようなものがある。

【言う】
・NG 部長が仰られていました
・OK 部長が仰っていました
言うを尊敬語に直すと「仰る(おっしゃる)」

【見る】
・NG 部長がご覧になられました
・OK 部長がご覧になりました
見るを尊敬語に直すと「ご覧になる」

【聞く】
・NG 明日の予定をお聞きになられましたか?
・OK 明日の予定をお聞きになりましたか?
聞くを尊敬語に直すと「お聞きになる」

【やる】
・NG 運動をおやりになられましたか?
・OK 運動をおやりになりましたか?
やるを尊敬語に直すと「おやりになる」

【書く】
・NG 記事をお書きになられています
・OK 記事をお書きになっていらっしゃいます
書くを尊敬語に直すと「お書きになる」

【呼ぶ】
・NG 部長がお呼びになられています
・OK 部長がお呼びになっています
呼ぶを尊敬語に直すと「お呼びになる」

【飲む】
・NG コーヒーをお飲みになられませんか?
・OK コーヒーをお飲みになりませんか?
飲むを尊敬語に直すと「お飲みになる」

【帰る】
・NG 挨拶せずにお帰りになられました
・OK 挨拶せずにお帰りになりました
帰るを尊敬語に直すと「お帰りになる」

【訪ねる】
・NG 自宅にうかがわせていただきます
・OK 自宅にうかがいます
たずねるを謙譲語に直すと「うかがう」

【見る】
・NG 記事を拝見させていただきました
・OK 記事を拝見しました
見るを謙譲語に直すと「拝見する」

これまで挙げた二重敬語はごく一部にすぎない。
あなたが普段間違って使ってしまっている敬語も中にはあるのでは?

しかし、二重敬語の中にも一般的に使われているものもある。

二重敬語に酷似した「敬語連結」ってなに?

基本的に二重敬語を使うのはNGなのだが、複数の言葉を敬語にして接続助詞「て」でつなげたものは「敬語連結」といって、敬語として利用できるのだ。

例えば「お飲みになっていらっしゃる」は、「飲む」と「いる」を別々に敬語に直してつなげたもので、二重敬語ではなく敬語連結となる。

敬語連結は、多少の冗長感が現れる場合もあるが、敬語単体の使い方が適切であり、敬語同士の結びつきに意味的な不合理が無いかぎりは、敬語連結として基本的に許容されるのだ。

まとめ

これまでの話で二重敬語について、理解できただろうか。
日本語は難しくて、特に敬語なんかは奥が深い。

敬語連結なんて初めて聞いた人も多いと思う。
理解するのも時間がかかってしまうかもしれないが、日本人に生まれたからには正しい日本語を覚えて使っていくことをおススメする。